岐阜県中津川市は１１日、市民病院の医師や看護師、消防本部職員ら計６１６人で総額約２億４０００万円の時間外勤務手当の未払いがあったと発表した。市は補正予算案に未払い分を計上、市議会が可決した後の今月２８日に支払う予定。

　市によると、昨年１０月、同病院の当時の男性研修医から相談を受けた恵那労働基準監督署が調査し、時間外勤務手当の割増賃金に特殊勤務手当が算入されていないことや、当直勤務者に時間外労働や深夜労働に対する支払いをしていないことが判明。労働基準法に違反するとして同労基署が是正勧告し、市は同年１２月、この研修医に未払い分約２１７万円を支払った。

　同労基署から他の職員についても是正するよう指導を受けたことから、市は医師手当や救急外来入院手当など特殊勤務手当の支給対象者の未払い分について、賃金の請求の時効にかからない昨年１月分に遡って支払うことを決めた。対象者は市民病院や坂下病院、坂下老人保健施設、消防本部などの職員で、１人当たりの最高額は医師の約１２００万円という。

　同市の市岡清総務部長は記者会見で「法解釈を誤り、給与に関する条例に特殊勤務手当を算入する規定がなかった。条例を改正して対応する」と述べた。